楢山節考/深沢七郎年が明けた正月に、自分を背負って楢山へ行くよう命じるおりんと、それを少しでも先延ばしにしたい思いを抱えながら、村の掟に逆らえない息子・辰平。
おりんは生来の丈夫な歯を疎んじていた。70歳になれば誰でも楢山まいりをしなければならないというのが村の掟だ。その時に、あまり丈夫な歯をしているのは、これから楢山に参ろうとする年寄りには似つかわしくない。懸念であった辰平の後妻をようやくの思いで見つけたおりんは、その後妻の人柄を確認した日、勇気を出して口を石臼にぶつけ、わざと歯を折る――。
姥捨て山伝説をベースにして描かれる人間ドラマ。70歳になれば、口減らしのために村の者は誰でも楢山参り(死地の山中へ向かう)をしなければならなかった。それを嫌がる年寄りもいる。その嫌がる年寄りを縄で縛って連れていく息子がいる。縄で縛られる年寄りを見て「馬鹿な奴だ!」と呆れるおりんさんがいる。しかし、「かわいそうに」と同情をはさむ者はいない。そこが現代とは一線を画してシビアな世界。
おりんさんは至って元気なのに、わざと歯を折ってまで年寄りを演じ、そして死地へと向かう。その人間の尊厳と矜持。
ぜひ一度読んでほしい、現代文学名作中の名作。
寄生獣(全巻)/岩明均個人的にマンガベスト1の作品。
作品を貫く「人間とは何か?」という哲学的な問い。軽快ながら緻密なコマ割り。脇役まで際立っている圧倒的なキャラクター配置。
そして、何よりミギーという、この存在のすごさ、スケール、それらが抜群に相俟って、この作品を不動のものにしている。
神業というか、奇跡なのではないだろうか。いつ読んでも鳥肌ものだし、人生観を変えてしまうほどのパワーを持っている。
ぜひ、読んでいただきたい。特に高校生に強くおススメしたい。
中字筆ペン/ぺんてる適度なコシで使いやすく、毛先がいい。
インクが詰め替えできるのも、経済的で気に入って愛用しています。
中字と太字を使い分けていますが、太字は1000円超と値段が張るのと、中字の方が使用範囲が広いのとで、おもに中字ばかり使用しています。
便箋までいくと、線が太くて使えませんが、葉書、封筒、のしなどにはベストの筆ペンでしょう。
これ一本あればオールラウンドに使いこなせると思います。
家紋の事典/高澤等本書を読んでいると、よくもまあこれだけの家紋が作られたもんだと感心してしまう。
家紋の歴史など概説に始まり、数多くの家紋とその種類について提示し、適度な説明を加えてある良書。
自分の家の家紋の意味を知りたくて購入したが、まるで何かイラスト集でも見ているような楽しみがある。
例えば、見慣れた桐や葵といった植物紋から、船のマークの家紋、櫛の絵の家紋、はたまたムカデの家紋なんてものまであり、その種類の豊富さには驚かされる。
本著の中に紹介されていたのだが、江戸時代にこんな川柳が詠まれているのだという。
「桶と花 提げて定紋 見てあるき」
墓参りに来て、墓に刻まれた各家の家紋を見てあるくことが、江戸時代の庶民にとって一つの娯楽になっていたらしい。この本を見ていると、それも分かる気がする。
若きウェルテルの悩み/ゲーテ普遍の中の普遍といっていい名作。
『刊行後200年以上世界の若者を魅了し続けた永遠の青春小説』
と帯の解説にあるけれど、まったく、恋や愛といったテーマはどれだけ時代が進歩しても変わらない気がする。
いや、正確にいえば、『愛』と『死』の2大テーマだろうか。
200年以上前の本ということで、当然、時代設定は古いけど(ところで200年前といったら日本はまだ江戸時代だ)読んでいて飽きることはない。
むしろ、そこらへんの現代小説よりもリアリティを感じてしまう。やっぱり普遍だ。
平成22年に改版され、文字も大きくなり読みやすくなっている。
活用自在反対語対照語辞典/柏書房哲の反対はなんだろうか?ということが気になって、本書で哲を引いてみる。
すると、哲のすぐ下に愚と表記されていて見やすい。
なるほど愚かあ、しかし、はたと愚の反対って賢じゃないのか?と思い、早速、賢を引く。
すると賢の下に愚とある。
ほらやっぱり、すると哲と賢は同意だったのか。本当かなあ。じゃあ愚って引いたらなんて出てるんだ?
ということが気にかかり、今度は愚を引いてみる。
すると、愚の下に哲と智と賢とあった。なるほど、愚の対照語は三つあるわけか。
一つの言葉につき、対照語が一つとは限らないんだな。
これは分かり易く、柔軟な辞典だ。