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20110605

腕時計の話

【カテゴリ:日常】

YAHOOのトップページ右にある広告で「腕時計特集」と題して、ブランド物、プレミア物の腕時計をただいまオークションで大放出中、といった宣伝を見た。また、別のサイトでも同様に「男の夏腕時計」みたいな広告があった。バイト先のスーパーで本売り場をチェックしていると、ファッション誌の今月号の付録が腕時計であった。
夏になり薄着になると、俄然、腕回りのファッションに注目が集まる。これからの季節、腕時計特集、ま、いかにもスタンダードな話である。ところが。

そんなファッション業界の「腕時計の季節がやってきました」的な空気の流れに逆行して、最近、腕時計をしている人を見なくなったと思うのは自分だけであろうか。職場では、毎日職員やお客さんと顔を合わせるわけだが、昨今、腕時計をしている人より、腕時計をしていない人の方が多いんじゃないだろうか、圧倒的に。見なくなったんだ、腕時計。
何年前だったか、自分はやはり腕時計についてブログで書いたことがあって、その時は懐中時計を引き合いに出し、「懐中時計が腕時計に取って代わられたように、腕時計もいつかは何かに取って代わられ消えてしまうのだろう」というようなことを書いた。
なんだか最近、その流れが急に顕著になってきた気がする。これは恐らく、携帯電話の進化によるものなんだろうけど、腕時計の存在意義が薄れつつある。時間を確認する機能だけなら携帯電話で十分であり、腕時計は腕につけているだけ煩わしい。辛うじてファッション性でもっているようなものかもしれない。
とすると、腕時計業界は今頃、火の車なのだろうか。ここで挽回せねば、この夏で盛り上げねば、つってあの手この手で腕時計の盛り上げ、末永き存続をかけて、今必死なのかもしれず、だから企業も躍起になって宣伝、最後っ屁をと狙っているのかもしれない。
それで自分は冒頭のような、はっきり言って時代錯誤な広告、「今、腕時計が熱い!」ってどこが熱いねん!もうしぼんどるやんけっ、と突っ込みを入れたくなるような腕時計特集に対して、侘しいような、寂しいような、なんだか喉に物が突っかかるような、そんな感情を、ここ最近、もう広告を見るたびに感じているのである。

自分はパンクロッカーを気取っているけれど、人間的に前衛か保守かって言われたら、存外保守的な人間で、保守的な上に天邪鬼っていうのだろうか、そういう消えていくもの、失くなっていくものに対して、強い執着心がある。そんな執着心から、一人孤独に「行田死語の会」なるものを立ち上げて、死語或いは瀕死語の保全活動に努めていたりするのだけど、腕時計しかり。いざ、消えていくとなると「可哀相に」と思って、自分は最近手に入れたカシオデータバンクという腕時計を夜な夜な愛でたりしているのである。
こいつは今からかれこれ13,4年前に流行った時計で、腕時計なのにアドレス帳機能や計算機まで兼ね備えた当時としてはスパコンみたいな野郎で、多機能な携帯電話が普及した今では何の役にも立たないけど、多くの学生がこの時計を欲しがっていたのではないだろうか。なんだかつけているだけでお洒落&頭よさそう!な時計だったけど、今つけている人はどっこにもいないね。いや、でもそんな今だからこそ、つけてみるとこれが意外にカッコよかったりするんだな。
同じくG-SHOCK。これはもう、ホントにGがかかるほどのショックなんだけど、値段の暴落が激しい。定価こそ変わらないものの、例えば90年代にプレミア価格で十何万という値段をつけて大流行していたモデルが今は中古で1万円を切っていたりする。オークションでも、3000円で入札なしとかだったりする。コレクターは鼻血ブーだね。逆に言えば、買うなら今かもしれない。
話がそれるけど同様にヴィンテージジーンズ、SMAPの草薙剛がテレビで何十万だの何百万だのと言っていたジーンズ、古着屋で額縁に入れられ絵画のように飾られていたジーンズ、赤耳とか、XXとか、66とか、ビッグEね、アレらが嘘みたいな値段で取引されているそうだよ。自分もあの当時、ウン万とかでボロボロのジーンズを買ってたけど、今じゃそれが2,3000円で売ってるって話だ。

流行は怖いね。って、別にそんなことを言いたかったわけじゃないのだけど、腕時計はね、ホントにあと数年の命かもしれない。このアイテムが、戦後日本の復興をどれだけ支えたのかとか考えるんだよね。いや、ホントのことを言うと、自分は時間に管理された社会は好まない。けれども腕時計があったから、恋人と公園の噴水で待ち合わせたりとか、欲しい時計を買うためにあくせくバイトした青春時代とか、そんなロマンチックな出来事もきっと無数にあったのだろうと思うわけで。
寂しいなあ。行っちまうのかよ。お山を追われたサルの大将のように、役目が終わってしまったものの最期は悲しいね。バイバイ、腕時計。世代交代の時間だ。ひっそりと消えていこうとしているお前に、ありがとうを言うよ。なんて机に両肘付いて考えているのである。
そういえば、今年の水着の流行柄がペイズリーだそうな。そうやって、蘇るものもまた多々ある。

カシオデータバンク


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