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20120722

山頭火日記1

【カテゴリ:日常】

2012年7月21日土曜日
書きたいことが次から次へと頭に浮かびとめどない。
あれも書きたい、これも書きたい、今日の帰り道にあったちょっとした出来事を全部忘れないうちに書き留めておきたいのだけれど、その大部分は書く前に忘れていってしまう。下校途中の小学生のはにかんだ笑顔を、ふと見た山々の今日は妙にはっきりとした輪郭を、今こうしている間にも、忘れていく。だんだん、忘れていく。
常にメモ帳とペンをポケットに入れて持ち歩いている。どこに行く時もそうだ。これがないと落ち着かない。アイデアがいつ、どこから降ってくるか分からない。降って来た瞬間は夢中になってメモをとるし、メモをとれない状況ならば、ひたすら頭の中でその文言を連呼する。
「ケガを見せる心情が男にはある」
「ケガを見せる心情が男にはある」
「ケガを見せる心情が男にはある」
そうして、仕事中、トイレに行った隙に、ポケットからメモ帳とペンをとりだして、走り書きをする。

  けが
けがを見せる心情が男にはある
けがは男のくんしょうだから
けがは戦ってきた証だから
それはいつか出会うあなたを
守る覚悟と
それはいつか
出会ったあなたを
ってきたるために負う傷だから
それをあなたに
見てほしいのだ

これでいいのだろうか。メモ帳を閉じながら仕事場に戻る。これでいいのだろうか。
後日、言葉を練り直す、ということが出来ない。時間をおくと、感性が固定されてしまい、もうあの一瞬のインスピレーションに戻ることは出来ない。手を入れるほどに腐っていく。こうしてメモ帳はまた開かれることのないページと、読まれることのない言葉で埋もれていく。
詩は閃きと瞬発力の賜物だ。小説のような持続力はなくてもいい。とめどない高みにのぼるジャンプ力さえあれば、それでいい。

もう明けそうな窓あけて青葉 山頭火

明け方、午前5時過ぎ。一通りの作業を終えて、小用に立つ。がらりと開けた障子戸の向こうにうっすらと群青色をしてやってくる朝がある。町はまだ眠っている。心の内に妙な新鮮味を覚えながら廊下をきしませてゆく。ふと見やった二階の窓から桜の木の青葉がしんと虚空に映えていた。まじまじと見つめる、というようなことをしない。次の瞬間にはもう忘れ、小用の中にゆるい快感を覚えている。ただ目の前に広がったその一瞬の光景を心にとどめ、言葉にすることがなかなか出来ない。それが出来たら、人も言葉も完成している。それを見過ごすから、人も言葉も可愛い。もう明けそうな窓あけて青葉。もう明けそうな窓あけて青葉。もう明けそうな窓あけて青葉。


宮崎神宮


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