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20120412

マジカルミステリーツアー

【カテゴリ:日常】

旅をしている時のこと。
人通りの少ない、車しか走らないような田舎道の道端に掘っ建て小屋のような建物をよく見かけた。
周りを青いトタンかなんかで囲い、むんむんとした空気を醸し出している。
その掘っ建て小屋が何故むんむんとしているかというと、別に小屋の柱、天井、梁などがむんむんとしているわけではなく、トタンに張り付けられた横断幕やそこに施された意匠に富んだペイント、その飾り付けからむんむんは発せられている。
横断幕には「こっそり館」とか「秘宝館」といった文字がカラフルに描かれており、その脇には「新作入荷」とか「新人女優ぞくぞく」みたいな単語が斜めに傾いていてちょっと小憎らしく洒落ている。
中をのぞいてみると、なんてことはない。エロ本とエロDVD、エログッズの自販機である。
う~む。
何故にこんな人通りの少ない場所に、かような施設が建っているのだろうか。
というのは簡単で、一つは地理的な問題。
近くにレンタルビデオ屋などがない、田舎なので街に出るまでが億劫だ、といったお客のために設置したもの。
もう一つは、まあ、割と近くにレンタルビデオ屋も本屋もあるけれど、そういう店を利用するのが恥ずかしい人のためもあるだろう。
また、興味本位で利用する人も多いかもしれない。
でまあ、こんな施設が街中にいくつもあれば、それはそれで便利なのだけど、いかんせん入店するのがちょっと気恥ずかしい、そんなむっつりスケベ心を揺すぶる設置場所であろうことは間違いない。でなければ、こんな売れそうにない場所に自販機を設置するわけがないのだ。
これが都会だったら、入ってみようかな、しかしな、人目がな、人目がな、人目がなければスッと入れるんだけど、ここは大通り、さっきから3秒に1回ぐらいの割合で後ろから人がやってくるし、うわっ、向こうからやってくるのザキヤマやんけ、あいつのことだから俺がここに居たの知ったら絶対に笑い者にするわ。頼む、気づかずに通り過ぎてくれ、通り過ぎてくれよ、あ、止まるなバカ、こっち見るなバカ、あ、あ、あ、あいつ何きょろきょろしてんだ?もしかして…プッ。あいつもここに用があったんか。あーあーあーばか面しちゃって、鼻の下伸ばして、あれはもう狒狒だね。ヒヒ。あ、あ、あいつ背中から自動ドア踏んでやがる。バッカだねえ。はい、ザキヤマ、入店っと。いらっしゃいませえ!ザキヤマぁ!!てなことが起こらぬとも限らない。そう、知り合いとの遭遇。
こんなことはなるべくない方がいい。避けるに越したことはない。
というのも、エロというのは不思議なもので、それ自体が人間の根源であり、どう考えても必要不可欠、生活から切っても切り離せないものであるのに、それをあからさまに表に出す、すなわち異性の目の前で鼻の穴を広げてフンフンする、自分の性癖を隠さずに披露する、ストリーキングをしてみる、などしていると、世の中から人格を疑われる、阿呆と思われる、刑務所に閉じ込められる、など迫害、偏見を受けるからである。
だから、人通りの少ない、ジュースの自販機を置いといても売り上げゼロみたいな田舎道に、まるでドライブスルーのようにこんな掘っ建て小屋を設置して、暗闇に客をいざなっている。


蟹の処刑


話は変わって、先日、引っ越しをした。同じ町内のアパートだが、それまでお世話になっていた先生の家を後にし、一人暮らしを始めた。
宮崎に来て2年半。今年で30歳になることもあり、区切りの意味で新生活をスタートさせた。といっても、バイト先などは変わっていない。変わったことと言えば住まいぐらいなもので、町の小高い丘の上にあるアパートの一室を借りた。
そこは一応国道沿いなのだけど、まあ、あまり歩行者が通らない田舎道である。
僕の住むアパートはその国道から脇道にそれて少し中に入ったところにある。
その国道からの脇道、これが非常にわかりづらい。車ではちょっと油断すると通り過ぎてしまうし、初めて来る人なら見過ごしてしまう可能性大といったようなポイントで、では何を目印にこの脇道へ入ればいいのか。
簡単である。
脇道のすぐ横に、あの掘っ建て小屋が建っているのである。
カラフルなので、とても分かりやすい。猫耳の女の子や、制服姿の女の子のキャラクターなどが描かれており「寄ってってニャン。休憩所」みたいな文句を書いている。
アパートの場所を人に聞かれたら、支障のない限り「坂の上にある、あのエロDVDなどを販売している自販機が目印です」と答えるようにしている。すると、相手は「ああ、あの自販機だね」とすぐに了解してくれる。町内では恐らくそこにしかないだろうから知名度は抜群で、よい目印になるのだ。
2階にある自分の部屋の窓からは、ちょうどこの掘っ建て小屋の中が正面に見えている。
仕事から帰ってきて、何気なく窓の外を見てみると、自販機の商品を吟味している人がいる。
もれなくエロいのが見放題ではなく、エロい人が見放題という、よく分からん、また、よく考えれば全く嬉しくない按配の景色がそこには広がっており、僕は未だにその小屋に近づけずにいる。
というのも、目と鼻の先にあるその自販機のむんむんがあまりに強すぎて、近づく気がしないのである。強烈なんだぜ、あのむんむんは。
しかし、まあ、これもなんかの縁だ。せっかくなので、あの掘っ建て小屋に何か名前をつけてあげようと思った。これだけ日本に点在する施設である。(数千はあるんじゃなかろうか?)全国共通の名称も欲しいではないか。もしかしたら、今後もブログに登場するかもしれないし、今考えている。
ええと、何にしようかな。
何にしようかなって、相当暇だな、俺。
いや、実はそんなに暇じゃないんですよ。ただ、ほら、命名するとなると気が抜けない性質で。マジカルミステリーツアー。マジカルミステリーツアーなんてどうでしょう。
ビートルズファンに怒られるかもしれないけど、あれはまさにマジカルミステリーツアーって感じだよ。
決めた。決めました。
あの掘っ建て小屋の名称はマジカルミステリーツアー。ほんで、うちに来るにはマジカルミステリツアーが目印ってことで、ひとつよろしくお願いします。どうぞ。

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