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20120805

永久機関と歩き方

【カテゴリ:日常】

高校時代の一時期、「永遠に転がり続けるサイコロ」を考えていたことがある。たとえば、サイコロが坂道を転がっていく時、その坂道がずっと続く限りはサイコロも転がり続ける。ところがどこかで坂道は終わるから、いつかサイコロも止まってしまう。
ならば、サイコロの仕組みを変えて、内部の重みを変化させながら進むことで平らな土地でもずっと転がり続けるサイコロは作れないものか。
これを考えていくと、サイコロという形は四角だから回転の抵抗が大きいということで、段々と形が五角形、六角形と多角になっていき、やがて球が一番抵抗がないじゃないかということに気づいた。
「永遠に転がり続ける球は作れないものか」
ベッドに横になりながら、そんなことを考えていた。風がなくても、坂がなくても、勝手に転がり続ける球が完成すれば、エネルギーは不要になる。木々を燃やして、その火力を電力に変える、なんていう手間も自然破壊も省けるのではないか。
結局、これは答えが出なかった。それから何年もしたのち、自分が考えていたこの「永遠に転がり続ける球」は永久機関という名称だと知った。同時に昔から多くの人がこの難問に挑戦してきたらしいことも。例えば、永遠に流れ続ける水や、永遠に回転し続ける歯車、といった永久機関を考えることで、少しでも効率的なエネルギーを模索してきたようだ。ところが、現代の科学でこれは不可能だという答えが出ている。それもそうだ。エネルギーは、エネルギーによって作られる。食物によって生物が生きられるように、風によって波が立つように、すべてはエネルギーの連鎖だ。エネルギーなくしてエネルギーはあり得ない。それはあたかも愛なくして愛があり得ないように、すべてエネルギーには元となるエネルギーがあるだろう。エネルギーを使わずにエネルギーを生み出す永久機関が物理学的に成り立つわけがない。
しかし、さて、エネルギーは等価交換だろうか。というのは、理科の話ではなく、時に大豆一粒が人間の体を動かすことがあるし、逆に自転車発電機にまたがって必死こいて漕ぎまくった力量で、灯せる明りがほんのわずかだったりする。
小さいエネルギーから大きなエネルギーを生む、ありふれたエネルギーから常のエネルギー変換を行う、そういう効率化はあるだろう。永久機関ではないが、ソーラーパネルは、その結晶のようなものだ。さんさんと無尽蔵に降り注ぐ太陽光から電力を生みだす。なんとも理想的なエネルギー変換システムではないか。
話が変わるけど、人間の歩き方も実はそうなのではないかと思う。
前回、源学4の中で「正しい歩き方」について触れた。正しい歩き方というのは、上に書いたような、効率的な歩き方を言うのではないだろうか?上手な歩き方というのは、四角形よりは球に近い気がするのだ。
頭のてっぺんからつま先、そして地面まで、人間が歩くとき、よく見ていると円の動きをしている。ためしに踵だけで歩いてみると、うまく歩けない。踵からエネルギーをつま先に移動させ、つま先から地面を伝って、逆の足の推進力に乗せていく。このエネルギーの移動が潤滑なほど、歩き方は効率がいいし、何より美しい。
そして、ここが一番大事なところだけど、こういう歩き方を続けることが健康への一番の近道だという気がしている。何故なら、人間は毎日歩くからだ。毎日歩いているのに、意外と歩き方というのを気にしないでいる人が多い。街へ出ると、色々な歩き方で歩いている人がいる。よく見ると、すべて違う。四角形、五角形、六角形。円に近い人は少ない。
以前、徒歩で日本一周の旅をしていた時に出会った僧侶の方は一日に60km歩くと言っていた。僕は40kmしか歩けない。当時はその差が「きっと体力の差だろう」と思いこんでいたが、今考えてみると、歩き方にも大きな差があったのではないだろうか。僕が一歩あるくのに余計な力を消費しているのに対し、僧侶の方は無駄がなかったのではないか?だからなのか、その方の歩くスピードは人より速かった。力を逃がさず、回転率がいいのだろう。
翻って、山伏と言われる人たち、修験道、密教的に言うところの雑密、もっといえば、サンカと呼ばれた山に暮らす人々は、この歩き方がどうも人とは違うらしい。彼らは歩き方に長けている。それはおそらく山暮らしの中で偶然出来上がったものではなく、古代から綿々と続く歩き方の教えが息づいているのではないだろうか。
歩き方だけではない。源学4で書いた8つの行動、これら全て、追っていくとその世界は深く興味深い。そこには古代人の偉大な知恵がぎゅうぎゅうに詰まっているからだ。そういうことにすごく関心があって、こんなことを調べたりしている。歴史も僕自身も円運動をしているのだろう、きっと。

シンジョウさんと僕


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