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20120816

山頭火日記3

【カテゴリ:日常】

以前、ドリームキャッチャーというアクセサリーが流行したことがあった。
アクセサリーと言っても、身にまとうものではない。手のひらほどの大きさで、部屋の中などにつるして飾っておくものだ。見た目は、蜘蛛の巣を模してある。
「この蜘蛛の巣が悪い夢を引っ掛けて、良い夢だけを見させてくれるというわけさ」
などと友人は言っていたが、ドリームキャッチャーという名称はそこから来ているらしい。元々はインディアンのお守りのようだ。
僕はこのドリームキャッチャーに対して、はじめて見た時から「不思議なもの」というイメージがあった。というのも、これを枕元に飾って眠ると悪夢を見ない、ということは、夢がその蜘蛛の巣を通りぬけてくるということになる。夢が蜘蛛の巣を通りぬけ、頭の中に入ってくる。では一体、その頭の中に入ってくる夢はそもそもどこから来るのだろう、というのが僕の疑問だった。
こんなこと、誰にも話したことがない。話したってどうせ相手にされないことは分かっている。僕が真面目な顔をしてそんなことを言うと、大抵の人はどうでもよさそうな顔をして、話を打ち切ってしまう。夢がどこからやってきて、この蜘蛛の巣を通りぬけ、頭のどの部分から脳や心に進入するのか、はたまたしないのか、なんて、彼、彼女らにはどうでもよく、ただお洒落であればそれで良いのだろう。本当に効能があったのかどうかは知らないが、最近はあまり見かけなくなった。
そういう、周りから見たら「変」な部分にこだわる癖が自分にはあるらしい。もちろん、自分で「変」だと思っているわけでなく、人から「変」と言われるだけなのだが…。
少しだけ反駁させてもらえば、ドリームキャッチャーを飾りながら、この「夢がどこから来るのか」を考えない人の方が変わっていると思うのだが、どうも世間では僕の方が変わり者になるらしい。実に悔しいことだと思う。僕は夢は脳内で見るものだと思っているから、ドリームキャッチャーを飾ったことはない。ただ、商品としてお洒落なものだとは思っている。

蜘蛛は網張る私は私を肯定する 山頭火

蜘蛛があのように網状の巣を張るのは、一つに捕食のためである。言ってしまえば罠だが、そんなことは知ったこっちゃない、蜘蛛はところ構わず巣を張って、かかる餌を待ち構えている。
人間はと言うと、そんな蜘蛛の巣をほうきの先で払ったり、見逃したり、時にはアクセサリーにしたりして飾っている。
蜘蛛も人も自分自身を肯定しなけりゃ生きてゆけない。否定したら、蜘蛛も人も巣を張れなくなってしまう。生きるということは矛盾だらけだ。けれども、その矛盾にいちいち突っかかっていったら、キリがないではないか。そんなキリがないことにキリをつけようとしている、そうか、だから私は変わり者か。けれどもいいじゃないか、私はこれで。
ほら、蜘蛛にも時々いるでしょう。訳のわからぬ「こんなところに?」というような歩道に巣を作り、不細工だけど個性的な巣を張っているやつ。私は一体全体そんな蜘蛛なのかもしれない。

ドリームキャッチャー

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