ねじ式/つげ義春28歳男。
雑誌などで、ことあるごとに見かける「つげ義春」という名前。一体どんな漫画家なのだろうと、代表作である「ねじ式」を手に取ってみた。
不思議、不思議、不思議。そして正体不明の魅力。こんなに説明できない作品が他にあるだろうか。う~ん、困っちゃったな。
「まさかこんな所にメメクラゲがいるとは思わなかった」
というセリフから始まるこの作品。メメクラゲって何??そこからすでに分からないのだ。
そのメメクラゲに左腕をかまれ、主人公の青年は出血多量で死ぬかもしれないと医者を探しまわる。住宅地を走り抜ける汽車、目医者ばかりの街角。そしてようやくたどり着いた産婦人科医で・・・。
これはもう、「つげ義春の世界」としか表現できない。結局、その世界に引きずり込まれた自分は、ちくま文庫から出ている『つげ義春コレクション』を全巻買ってしまった。
暗渠の宿/西村賢太突然だが、芥川賞を受賞した作品は売れる。候補作は売れなくても、受賞作は売れる。もしかしたら受賞作と候補作のレベルに大きな差はないかもしれない。それでも、芥川賞を受賞することと受賞しないことの間には、深い溝がある。売れる、ということは、それだけ多くの人に読んでもらえるということだ。これはどの作家にとっても本懐だろう。多くの人に作品を読んでもらいたい。だから作家はその賞を熱望する。
本作「暗渠の宿」も「苦役列車」がなければ、読者に読んでもらえる機会はもっと少なかったかもしれない。けれど、ぼくは賞云々でなく、純粋にこの作家の作品に惹かれる。本来、作品とは賞でその価値が変わるものでもないはずだ。もっともっと、この作品が世に問われることを望む。
どなたか失念したが雑誌で「西村賢太の作品を読むと動揺する」と言っていた。
何故、動揺するのか?
「暗渠の宿」もそうだが、西村作品の主人公は一貫している。その共通点を挙げれば、卑屈、狭量、短気なくせにネチネチしている。読んでいて、こんな奴とは付き合いたくない、と思う。しかし、読まずにはおれなくなるのだ。どの作品にも、どこかに必ず自分自身が潜んでいるのである。
例えるなら、沼の底の鏡。沼底にゆらゆらと揺れているものがあるので何かと目を凝らしてみたら、それは鏡に映っていた自分の顔だった。そんな時、動揺しない人間があるだろうか。西村作品を読んで、心が動揺しない人があるならば、その人は聖人か嘘つきかのどちらかだろう。
河井次郎の宇宙/河井次郎記念館編芸術は何故、歳を取らないのだろう。不思議である。制作者が歳を取り、死んでしまっても、作品はいつまでも瑞々しい。芸術でないものは、時間と共に歳を取り、消えていくのに、芸術は毅然としてそこに在り続ける。例えば、昨日今日出たばかりの流行曲がすぐに消えていってしまうのに、パッヘルベルのカノンがいつまでも新鮮なのは何故だろう?一つ一つの音のつながりの、どこにそんな差があるというのか。素人の自分には解らない。
同じように河井次郎が作る陶器が、何故これほどまでに斬新なのか。理解できないのである。だって、河井次郎その人は明治生まれの人なのだ。平成を生きる自分の目に、河井次郎の陶器はあまりに生々しく「今」を映しだす。そしておそらく、それは50年後も100年後も変わらないのだろう。何故なのだ?永遠だとか宇宙だとか、芸術家はどうしてそういうものを表現できるのか。さっぱり理由が掴めないでいる。
本著では、河井次郎の建築、陶器、木彫り、書、詩作品等の写真と説明文、年表を所収している。河井次郎を知る、良い一冊になると思う。
TIN PAN ALLEY/毛皮のマリーズ先発シングル「Mary Lou」を含む、11曲入りのメジャーセカンドアルバム。
名曲ぞろいというラジオDJの言葉を信じて買ってみたが、これがまた名曲ぞろい。
「Mary Lou」はすでに聴いていたから名曲だと知っていたものの、「おっさんOnTheCorner」、「C列車で行こう」、そしてボーカル志磨の弾き語り曲である「星の王子さま(バイオリンのための)」が特に秀逸に感じた。
歌詞がいいよね、歌詞が。「愛のテーマ」の「ねえ、結婚しようよ、子供をつくろうよ」にはぶっ飛んだ。そんなラブソング、今までなかったもの。
同梱のDVDもナイスチョイス、良いセンス。3曲のPVと、2曲のライブ映像を収めている。毎晩見ては、ラストの「コミック・ジェネレイション」に悶えている。サイコーだ、マリーズ!!!
ハリボックスコーラグミ/ハリボーなんの根拠もなく、当てずっぽうな意見なのですが、最近のハード食感グミのブームって、ハリボーからの流れだと思うのは自分だけでしょうか。
キワモノが多い外国系菓子の中で、異彩を放つハリボー。このグミにハマった人は多いハズ。
なんといっても、この噛みごたえ。
近所のスーパーに置いてなくて、仕方なく、日本のメーカーが競うように出しているそのハード食感系のグミをいろいろ買って試すのだけど、ハリボーには敵いません。
絶妙と言えばいいのでしょうか。冷麺といい、ナタデココといい、蛸といい、そういう食感が好きな自分としては、やっぱりグミはハリボーなのでした。うう、顎が疲れる。